閃光少女2


いつの間にか寝てたらしい。どうして電車ってこうも眠気を誘う乗り物なのか。
もともとアルコールが入ってたせいもあるかもしれないけれど、目覚めは悪くなかった。
悪くないはずなのだが・・・・

 ・・・・・・何処ここ・・・・・・

一面見渡す限りの草木。冷え込む空気。物音ひとつしない
 こ  の  野  外 。 

・・・・・ちょっと待て。私は電車に乗ったよね?いや、確かにちょっとロマンチズム出して「いつも乗らないあの電車で流されるまま」なんて思って遠出の覚悟はしてきたけど、 いきなり野外にいるってなにこれ、私お酒に酔った勢いでなにか粗相して電車から降ろされたの?
私そんな酒乱だったの??でもその前にさ、なんていうかさ

 ・・・・・・電車の線路も、駅も・・・・・・
 建物の灯りひとつすら見当たらないんですけど・・・?

何処へ向かって歩いていけばいいのかすらわからない・・・・・だと・・・・・・?
うん、これはなかなかエマージェンシーなのでは・・・・・・・・!!?
あっ、ケータイ!ケータイのGPS機能って、こういうときのためのものだよね!


ぽちぽちぽち・・・

 ・・・うん、この状況でなんとなくケータイ圏外って予想はついてた・・・(涙)

とにかくこんな森の中に何時間もいるわけにはいかない。人に会いたい。それで道を教えてもらわなきゃ。だって、360度見渡す限り木しか見えない大自然なんだぞ。
あとその木々の隙間からちょっと月が見えるくらい。不安しかわかないじゃないか。
そう思って私は、この状況ですっかり酒の抜けきった体を奮い立たせて、あてもなく歩きだした。

 そうか、月が出てるからまだなんとか歩けてるのかも・・・

そんなことをぼんやり思い始めたとき、背後で音がした。





ガサガサガサー

突然の物音にこれでもかというくらい体が震えあがった。
実のところ、ホラーとかはあんまり得意ではないのだ、私は。こんな暗闇に一人きりなんて、それこそ勘弁。
でも今は自分一人しかいないのだから、自分がしっかりしなきゃいけないのはわかってる。
もういい歳した大人ですし!!幽霊とかいないですよねっ、知ってる!!!っというかというかね、
私にそんな霊感ありはしないから、いても見えやしないんだから!頼むよ!!!と
ものの0コンマ何秒で自分をそう勇気づけて、音のした背後をおそるおそる振り返ると・・・

 い・・・・・犬・・・・・・?

4本足の見慣れたシルエットが闇の中に一匹見えた。
でもなんだか・・・・・

 ・・・2匹、3匹・・・・・どんどん増えて・・・・・・・


群れをなし始めたそれらが月に照らされたのをみて、ようやく違和感の正体がわかった。

 おおかみ なんじゃない、コレ・・・・・!?

ちょっと待った、ちょっと待った・・・・・
逃げたほうがいい、いや逆に背中を見せないほうがいい!?
そういえばクマに遭遇した人のニュースで口の中に拳を突っ込んで撃退したなんて話があったような気もする・・・け、ど・・・・

 わぉお―――――――――――ん・・・・

一匹が発したその鳴き声ひとつで、もう何も考えられなくなった私は走り出していた。
相手は獣なわけで、もちろん逃げ切れるはずもないのはわかっていたけど、だって怖いじゃない。
無我夢中で走って走って、でもずっと背中にはあの狼たちの荒い足音と呼吸をビタッと感じながら。

・・・・・でもね、なぜかまだ背中に飛び掛かられたりしてない。走ってる割に息もたいして乱れてない。
あれ、私ってそんなに足は速くないよね・・・そう思って「これは夢なんじゃ」と、思いはじめた。
そうだよ、それならこの妙に軽い体とか狼とか納得できる。 そうか夢なんだ、夢ならそろそろ覚めてもいいころだよね。
というか、夢なら空を飛んで逃げることだって出来ちゃうんじゃない?

ふと気づけば、あんなに怖かったあの狼たちの気配も感じなくなり、私は相変わらず息ひとつ乱さず走り続けていて、
なーんだ、これは夢なんだ、と思った。
そして、眼前にこの森の出口を感じさせる視界の広がりを感じて、よし、終わったと思った。
そう確信して、最後の一歩で勢いよく大地を蹴ってジャンプした。
体が宙に浮かび上がる感覚。
ほら夢だ。私こんなに高く飛び上れないもん。

こんなに棒高跳びの選手みたいな・・・こんな・・・・・・・・









・・・・・お、城・・・・・・?















そして、今まで感じたこともない高さからの生身の落下を体感するのだった。