「それと・・・花村、今日は待機。じゃあ今日はこのメンバーで行くぞ」
「え、う、うん・・・!?」
「ちょ、まてまて!どう考えても行くべきは俺だろうが!里中とクマはいざ知らず、名前にはまだきついって!」
「名前”先輩”だろ、花村」
「そーよ!あんたジュネスで一緒にいる時間が長いからって馴れ馴れしすぎ」
「名前ちゃんデビュー戦クマね~!一緒に頑張ろうクマ~!!」
「は、花村くん。私がんばるから・・・!」
「いや、ほんと、ちょ・・・考え直せ相棒ぉおお!」
今日も今日とてテレビ探索に向かう若人たち。
最強リーダー鳴上 悠の指示にはほぼ100%従う彼らが、今日は珍しく揉めている。
というのも、最近この特捜隊に仲間入りした名前先輩こと苗字名前の初出動であることがひとつと・・・、
「私、確かに補助的な能力しかないけど、どう戦えばいいかちゃんと勉強してくるから・・・」
「確かに戦わねーと強くはなれねーけど!お前、防御力めちゃくちゃ低いし、攻撃ってキャラでもねーし、
とにかく!今日みたいなダンジョンに名前を連れてくのは絶対っ、反対だっ!」
言いたい放題の花村だが、先ほど鳴上が注意した通り、苗字名前は八十神高校3年生。
実は彼らの中で一番の最年長なのである。あるはずなのだが・・・
「別に戦闘に参加すんなって言ってるわけじゃねーよ。でもこいつ背ちっちぇーし細すぎだし体力もねーし、デビュー戦がこんな上級者向けのダンジョンとかじゃ、一発あたっただけでK.Oされるだろうが!」
「それをカバーして一気にレベルアップを図るのが作戦であって、そのためのパーティーでしょ?」
「名前ちゃんをいじめると許さないクマよ!」
「花村、落ち着け。確かに名前先輩はまだ弱いけど、回復や補助系は貴重な能力だし、これからも絶対必要なスキルだ。俺たちでちゃんとフォローするっていう覚悟で決めた班分けなんだから、な?」
「そうは言ってもだなぁ・・・ってっ・・・!?」
仲間の正論に説得されつつも、眉間にしわを寄せているあたりまだ納得は出来ていないようだ。
言うことに詰まってふと、一方的に言われっぱなしだった名前当人を見やって、
勢いのまま話していた花村はようやくしまった、と思ったらしい。
「っ・・・た、たしかに私はみんなみたいに強くないし、肝心の能力もまだまだだけどっ・・・」
泣 か せ た ・・・・・・・・・
一同の視線が一挙に張本人の花村に集まって、本人はさらに焦りの色を隠せず立ちすくんだ。
ある意味、形勢逆転。一気に名前のターンだ。
涙がこぼれるのを耐えるように顔を俯かせて、制服のスカートをぎゅっと握り、声は途切れ途切れだが
周りがこの状況に沈黙している今、彼女のか細い声でもよく通る。
「わ、私だって特捜隊の一員だし、自分のペルソナだって持ってるんだから・・・だから・・・」
「お願い、いかせて?花村くん・・・・・・っ」
「名前ちゃん、サポートのタイミングばっちりクマー!」
「うん、敵の攻撃もほとんど見切って避けてるし!名前先輩、すごい!!」
「みんなが助けてくれてるおかげだよ。本当にありがとう!」
「陽介が見たらもうあんな文句言えませんよ。先輩、さすがです」
「へへ、お世辞でも光栄です・・・連れてきてくれてありがとうね、鳴上くん。」
年上の先輩にも関わらず、画面いっぱいにお花の背景を背負っても似合いそうな名前の笑顔は、
美人と名高い雪子や他の女子たちにも負けない、ぶっちぎりの癒し系の魅力がある。
能力が先か性格が先かはたまた外見が先にそっち系だったのかはいざ知らず、
そんな名前の笑顔を目の前にしてパーティーはしみじみ思った。
『(((好きすぎて過保護になるって・・・ほんと花村(ヨースケ)、損な性格してるよな(クマ)・・・)))』
その頃、留守番中の花村陽介は、言い過ぎた罪悪感と彼女が泣き顔で放った台詞の解釈を
あらぬ方角に連想して、ひたすら悶々していたそうな。

次は一緒に行けるといいね、花村(他人事)