「一緒に暮らし始めてかれこれ2週間か。どうだ名前?なんか困ってることないか?」
「えっ、いきなりなんですかダンテさん」
「いやさ、名前がここに来たばっかのとき、レディがお節介やいてお前の服とか生活用品とか
色々揃えてくれただろ?俺、全然そういうことに気が回ってなかったからさ。
今さらかもしれねーけど、その・・・一応、聞いておこうかと・・・」
「ダンテさん・・・、ありがとうございます」
「・・・・・・・」
「?ダンテさん??なんで涙ぐんでるんですか??」
「あ、いや、何でもない。そんな風に素直に頬を染めてはにかみながら礼を言ってくる女とか
初めてで感動したとかそんなことないっ、グスッ」
「?なんだかよくわからないけど、気を遣ってくださって本当にありがとうございます。でも今のところは大丈夫ですよ」
「ほんとうか?お前、要望少なすぎて実は我慢してんじゃないかって心配なんだけど」
「えっ、そ、そうですか?うーん、でも本当に今のところは・・・・・あっ」
「なんか思い出したか!?」
「あの、そうだった、エプロン、欲しいなと思ってたんです」
「 エ プ ロ ン 」
「そう、ご飯を作るときにやっぱり油はねとか気になっちゃって・・・
シンプルなのでいいので1枚あったらいいなって・・・って、ダンテさん?」
「任せとけ・・・名前にぴったりの、買ってやる…っ!」
「あ、あの、安いのでいいんですよ?そんな力いっぱい宣言するほどのものでは・・・それに」
「というか、心当たりがある!ちょっと行って買ってくる!!」
「え、ダンテさんそんな急がなくても、ダンテさんっ、ダンテさ――ん!!?」
「なんだ騒がしい、ダンテがどうした」
「あっ、バージルさん、ダンテさんがエプロンを買ってくれるって、すごい勢いで出て行ってしまって・・・」
「エプロン?なんだ、いきなり」
「すみません、私があったらいいなと思ってぽろっと言ってしまったばかりに・・・」
「別にいいんじゃないか、そんな高いものでもないだろう。確かに俺も欲しいとは思っていた」
「そうなんですよ、バージルさんも使うものだから、飾り気がないシンプルなものがいいって伝えたかったんですけど―――」
「買ってきた!!!」
「「予感的中(か)・・・・・・」」
「え!?せっかく買ってきたのに、なんだその反応!俺なんかミスった!?」
「お前・・・普段の料理は誰が作っているかわかっているか?」
「は?名前だろ?」
「殺すぞ貴様っ・・・!俺も少なからず作っているっ!
昨日、お前がうまいうまいと3杯もお替りしたビーフシチューは俺が作ったんだぞ」
「マジで!!?」
「昨日のビーフシチューは美味しかったですねぇ」
「えぇえ、俺てっきり名前が作ってくれたんだと・・・」
「えへへ、昨日はサラダだけのお手伝いでした」
「がっかりするのはそこじゃないぞダンテ、要するにこのエプロンは俺と名前が使うものだ。
ということはどういうことかわかるか」
「はっ・・・!こ、この、新妻仕様の純白フリルのエプロンを、バージルが着ると・・・!?」
「わかったらとっとと取り替えて来い、この愚弟が」
「いやだ!これ、名前には絶対似合うし!」
「えっ!?わ、私もこういうフリリーなのはあんまり着たことないんですけど・・・」
「名前にはこういう可愛いのが似合うって!俺が保証する!」
「そもそも、こんな絵本に出てきそうなほど可愛らしいデザインのエプロン、一体どこで買ってきたんですか?」
「ヒミツのお店♪」
「ぼかした言い方するな。どうせいかがわしい店だろうが」
「おやおや、そんなバージルくんは、これが似合わないって言うんですかぁ?」
「当たり前だ、俺が着て似合うはずが」
「ちげーよ!名前と、このエプロンがってことだよ・・・!」
「ダンテさん、わかりきったこと聞かないで下さい。バージルさんがそんなこと思うわけ」
「馬鹿を言うな!名前は似合うに決まっている!!」
「突然の離反!?どういうことですか、バージルさん!!!」
「似合うものは似合うと言っただけだ。事実だろう」
「それは、このエプロンを受け入れるということで、それはすなわちバージルさんもこれを使うってことなんですよ!?」
「ふぅ、仕方ない・・・俺はもうしばらくこのままで我慢するとしよう」
「これは名前専用ってことで、な!そうと決まったら早速着てみてくれよ」
「え、えぇ――――!?」
「遠慮なんかするな。甲斐性のないこの弟が名前に贈る初めてのプレゼントだ、受け取ってやってくれ」
「遠慮とかそんなことではなくて、恥ずかしいんです!絶対、似合わないです!」
「ぐすっ・・・ここまで似合うって言っても信じてくれないなんて・・・信用ねえなぁ俺たち・・・」
「えっ、そ、そんなわけでは・・・!」
「まあダンテは普段の行いが物を言っているとして、俺の見立てを信じないという点は許しがたいな」
「ば、バージルさんまでそんな」
「着ろ、名前。着ればわかる」
「ひぃっ!バージルさん、とうとう命令口調ですか!?」
「よーしそれならジャンケンで勝負だ俺が勝ったら着てくれよじゃーんけーんぽん!!!」
「っぱー・・・・・!!」
「チョキ・・・俺の勝ちな?」
「ずるいです!そんなワンブレスで捲くし立てるようにジャンケンとか!」
「もう観念しろ名前、運も勝負のうちだ」
「そういうこと名前」
「そ・・・そ・・・そんなぁああ~~~~っ」